お客さまから「クラッチペダルを踏んだら戻りません。
シフト操作が出来なくなってしまったので修理をお願いします。」という電話が入りました。
ステージアはお客さんの勤務先に置いてあるとのことでしたのでそちらまで引き取りに伺います。
症状からペダルの戻らない原因は、マスターシリンダー抜けか
オペレーティングシリンダー抜けかと思われましたので点検を始めます。
まずはエンジンルーム内から拝見します。
マスターのカップ内が汚れていますがオイルは抜けていない様子です。
次にリフトアップしてオペレーティングシリンダーを見ると・・・
漏れてました。ブーツをめくるとフルードが滴ってきます。
ピストンキットの交換でも対応できなくもないのですが、
シリンダーの摩耗も考えられますのでAssy.で新調します。
エンジンルームに戻ります。
一時的にはオペシリンダーだけ補修するだけでも
クラッチ操作・動作するようになるのですが、
マスターシリンダーもオペレーティングシリンダーも同じ回数動作、消耗しておりますので
今回はオーナーさんのご要望で長期的に見てマスターシリンダーも交換すことにします。
油路も変更します。今までゴムホースと鉄管を使用していましたが、
今回はメッシュホースを用いてダイレクト接続することにします。
また、マスターシリンダーは指定型式の部品は
生産終了とのことでしたので別型式のものに変更します。
ペダル1ストロークでの流量・油量は賄えるようにしておきました。
メッシュホースに取替前の準備としてマスターシリンダーにANフィッティングを取り付けます。
オペレーティングシリンダーにもアダプターを取り付けます。
ANアダプターを取付けるとこんな感じになります。
装着前にマスターシリンダーのロッド長合わせをしておきます。
トランスミッション脇のベルハウジングに取り付けるとこんな感じになります。
マスターシリンダーも・・・
このあとフルードを注入してエアを抜けば出来上がりです。
今回の症状の原因は各シリンダー内部品の消耗ということで部品交換で対処できました。
同様の症状でも・・・ミッションのクラッチハウジング内に装着されている
レリーズフォークピボットが破損したことでペダルが戻らなくなることもありました。
クラッチ交換の際にはピボット交換も併せてされると良いかもしれませんね。
何にせよ今回はトランスミッションを降さず修理作業が進んでよかったです。