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S15シルビア SR20NAエンジン故障、原因検証~修理①

先日まで元気に走っていた友人のS15シルビアのエンジンが
 
故障(エンジンブロー)したということで修理に取り掛かります。
 
数日前にサーキット走行後、レッカーにてお店に運び込まれました。
 
オイルが漏れ、エンジン掛かりません。
 
 
 
故障の原因を探りつつ、今後これまで以上に長持ちするものを
 
作り、直していこう、というものにできればと思っています。
 
壊れたものを直す、対策するという記事は楽しいかどうかわかりませんが、
 
折角なので表に出せるところは出していこうと思っています。
 
ご興味のある方はどうぞご覧下さいませ。またご意見など頂戴できれば嬉しく思います。
 
 
 

 
まずこのエンジンについてですが、
 
日産の純正エンジンベースに加工は6年前に
 
この道の有識者である方々にサポート頂き、相談、パーツ選定、加工等を対応してもらいました。
 
1990年代にあった全日本ツーリングカーレース(JTCC)に使用、もしくはレギュレーションにより
 
使用することのできなかった高性能、高出力化を目的としたパーツやデータを盛り込んだエンジンです。
 
このように聞くと「とんでもなく高価」な感じがするかもしれませんが、そのようなことはございません。
 
スペックはレアですが、価格は至って標準的なものです。
 
オーナーが自身で組んだレーシングでDIYなNAエンジンです。
 
 
 

 
低回転はトルクが細い分、高回転ではパワーがあり、伸びのあるフィーリングが
 
オーナーを魅了していたようです。通勤車両として使用しており、走行距離も一般的で、
 
3カ月に1回ほどのペースで富士スピードウェイ レーシングコースを走っておられました。
 
レブは9000rpmとSR20エンジンとしてかなりの高回転型です。
 
概要は以下の通りです。
 
・超ハイリフトでものすごく広い作用角のカムシャフト2本をかなり広げてオーバーラップさせたバルブタイミングでセット
・SR20最大ではないが大きな鍛造ピストン89㎜
・傘の大きなバルブ
・NAエンジンに必要ないくらい強そうなH断面コンロッド
・強化バルブスプリング(ツイン)
・持っている気がしないくらい軽いバルブリテーナー
・クラプリ+クランク+市販軽量FWをさらに軽量化したもの+カバー、3点の回転バランス取り
・加工はポート、シリンダー内面、ピストンリセス追い逃げ、ヘッド下面研磨、シリンダ上面研磨、オイルポンプ₊ロッカーアーム+メタル・・・後忘れたけど各メッキ処理、セット調合わせ、INとOUTポート精密拡大+研磨等々
 
ほか書き切れませんので、興味のある方は本人さんを紹介しますので直接聞いてください。
 
人見知りが激しい人ですがおしゃべり好きなので、趣味の近い方には色々話してくれますよ。
 
 
 

 
現在のエンジンの状態は…
 
エンジン掛かりません。クランクシャフトも回転できませんし、
 
シリンダーブロック#2の側面に大きな穴が開いています。
 
コンロッドの切片がエンジンアンダーカバーに溶けて刺さっていました。
 
 
この状態を聞くと気の毒ですね。
 
オーナー自身は、自己責任、自分の趣味であることなど含めて、承知の上で
 
皆に迷惑を掛けながら楽しんでいるので仕方ない、という気持ちもあるようです。
 
・・・というか特段お金持ちでもないので、なるべく自分で組むという手段を取っています。
 
場所もお店の敷地で真横で手伝い、アドバイスを受けながら嗜んでいるというものですので、
 
気軽にこの記事をご覧いただきたいと思います。
 
また、今回はこちらへの掲載の許可も戴いております。
 
ご興味のある方は当店にお越しいただきながら、情報収集されても良いかと思います。
 
 
 

 
エンジンを降ろしはミノワが頼まれました。
 
検証するため一度分解します。
 
補機類取外し以降はオーナーが担当します。ぼくもなるべく傍にいるようにします。
 
 
 

 
側面はこんな状態です。
 
 
 

 
オイルパンからまずはLLCが出てきました。
 
 
 

 
その後エンジンオイルが少量出てきます。
 
よく見るとオイルエレメント装着(インテーク)側もクラックが入り、オイル滲みが見受けられました。
 
この時点でシリンダーは別のものと交換することになります。
 
 
 

 
タペットを外すとロッカーアームが2個(♯2のところ)外れていました。
 
カムはそれほど損傷しておりません。取外してヘッドとシリンダーを分離します。
 
 
 

 
コンロッドは砕けてクランクシャフトに挟まっていました。
 
 
 
ここから破損部品をリストアップします。
 
 
 
壊れてしまったエンジンを見て分かったこととして、
 
コンロッドボルトの伸び、高回転を多用することで0.5㎜以上も伸びるようです。
 
強化ボルトの伸びの限界値は新品時+0.5㎜となっていました。
 
現物を見る限りボルトが緩み、抜け落ちた可能性が大きいです。
 
クランクメタルは他の気筒全てきれいな状態でしたので
 
クリアランス値に変更なしでやっていこうという話になりました。
 
 
 
 
用意するエンジンパーツはコンロッドボルトの更なる強度アップ、
 
そしてコンロッド自体の強度も上げるためNAエンジンにも拘らずI断面を選択する予定です。
 
オーナーはパーツマニアなのでどうしても使ってみたいようです。
 
他、I断面で重くなる分、ピストンは軽量化、
 
サイズは同じで、コンロッドが重くなる分を相殺できればという希望があります。
 
シリンダーは無加工品を探し、
 
ヘッドパーツはバルブのみ1気筒分交換、他はこのまま使う予定です。
 
 
 
部品メーカーとの加工寸法の打ち合わせ~注文依頼を始めていきます。
 
 
つづく
 
 

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