「セルは回るが、エンジンが始動しない。」ということで預かりましたS15シルビアです。
新車から乗り続けられているお車のようです。走行距離は15万キロ程度です。
初めてお預かりしますので、各部のコンディションを調べつつ、エンジンを始動させます。
エンジンルーム内は綺麗でメンテナンスされている様子です。
オーナーさんからの状況説明によると
「自宅で洗車が終わって、少し車を移動してすぐにエンジンを止め、
その後からエンジンが掛からなくなった」
ということです。
この話を聞くだけでは「プラグのカブリ」くらいしか思い当たりませんが、
オーナーさんが点検した内容を書いたメンテナンスリストをいただき、参考にしながら、
ぼくらなりの診断をしていきます。
まずは点火系から点検します。
簡易スパークテスタを使用して点火信号が来ているか、また電力があるかを点検します。
セルモーターを回すとこんな感じに火花が出ました。
4本ともに点検しましたが、すべて正常動作しています。
次に燃圧を測定します。
燃料ポンプが動作しているかどうか、ホースがタンク内で外れていないかなど調べます。
規定値の2.5kかかってるので正常です。
一応エンジンオイルの量と色と匂いを点検します。
汚れもありますが、ガソリンの混じった臭いもします。
プラグの先端、電極と碍子部に、燃料とオイルの混じったものが付着しています。
このままでは、初爆が出ません。
点火プラグがこのような状態の時には、
インテークマニホールド内や燃焼室内部にも燃料が残っていることがありますので、
それらの洗浄もしておきます。
電極部を洗浄したところです。
そこまでやって、どうにかエンジンが始動しました。
やはり「プラグのカブリ」が原因のようです。が・・・
ガソリンだけではなく、エンジンオイルも一緒に付着していたように感じます。
アイドリングも儘ならない状態でしたの、
このまま水温が上がるまで様子を見て、もう少し調べます。
暖機の終わったところで、点火時期の点検をします。
基準値の15°に合っていました。バッチリ良好です。
最後に圧縮圧力を測定したところ、低めの数値が出ておりました。
使用するエンジンオイルの種類や走行距離などにより、
ブローバイガスの中に含まれるエンジンオイルの量も多くなってきているのかもしれません。
他にも点検項目はありますが、エンジンがかかり、通常走行できるようになりましたので、
今回の点検は ここまでという話になりました。
まずは、エンジンオイルの交換をお勧めして様子を見て頂くことにしました。
数日後、オーナーさんから連絡があり、
今のところ順調に動作している、との話を聞けました。
念のため、次回ご来店際にはO2センサーの動作具合を一緒に見てみましょう、という約束だけしておきました。