初めてお預かりするJZX100チェイサーです。
乗り続けて10数年だそうです。
「この1カ月、エンジンの吹け上りがおかしい」ということで、
お預かりして原因を調べて修理する話になりました。
症状の発生は常時ではなくエンジンが暖まると出ることが多いということです。
どのような状態なのか実車を拝見しました。
預かり時には症状が出ていて、
エアコンを作動させISCVを開き気味にしていないと、アイドリングすら儘ならない状況です。
オーナーさん立ち合いの元、マフラーからの排気音も聞かせていただきましたところ、
どうやら1気筒爆発していない様子です。
走行フィールも悪いようで「吹け上がらない回転域がある」ということです。
ECUにセンサー類のトラブル履歴が残されている可能性もありますので、
愛車の健康診断を施工し、エンジン制御系を中心に点検していきます。
エンジン圧縮測定と合わせて点火系の調査をする流れとなりました。
作業を大きく分けると、
・点火系以外でエラーがないかECUの診断コードを見る。
・爆発していな気筒を探る。
・アイドル時に爆発していないシリンダの点火コイルを1個だけ交換して様子を見る。
・点火プラグを6本すべて交換して様子を見る。
・点火コイル全て新品に交換して様子を見る。
これらを順に施工し、症状が治まるかどうか見ていくことにします。
自己診断モードでダイアグコードを調べましたが、
エンジンチェックランプが一定間隔で点滅しているということで
ECUでは正常に動作していることが分かりました。
次にどの気筒が爆発していないかを調べます。
3個のコイルの設置場所を入れ替えながら点検します。
このことでアイドリング中には3番に装着されていたコイルが
動いていなかったことが分かりました。
点火コイルを取り出します。色合いその他、純正品ではなさそうです。
単体調査しましたが正常値を示ていました。
エンジンの発熱や振動で不良が出るのかもしれません。
新品コイルを、まずは1個だけ交換して試します。
左が装着されていたもの、右が純正新品です。
これでコンディションが回復すればいいなー
エンジンを始動して・・・アイドリングは・・・きれいに安定しています。
走り始めも・・・調子いいです。
・・・ところが、ブーストを掛けると失火してしまいます。
コイル1個のトラブルではなさそうです。
続いて点火プラグを外しました。
ギャップが広く、そろそろ交換時期と思われる状態でした。
画像右端が着火していない気筒から取り出したものです。
他の5本と見た目からして違います。
これらを新品にするだけでも調子が回復する場合もありますので・・・
プラグを6本全部新調します。
試走しましたがフィーリングの変化はあまりよく分かりません。
ターボが効き始めたあたりから失火している症状は治まりません。
点火コイルの残り2個も交換します。
その後に試走したところ・・・
高負荷を掛けても燻りません。しっかり吹け上がります。
全く違う滑らかなエンジンフィールになり、これが本来の状態であると体感できました。
やっと直りました。
原因は複数の点火コイルの故障ということになりました。
低回転域で1個と高回転でもう1個、内部不良があったようです。
複数個所こうなることもあるんですね。
症状が治まり、オーナーさんは安心してお帰りになりました。
お待たせ致しました。