今回のご依頼は、「ブーストが掛からない」という症状を直して欲しいというものです。
依頼を受けるときには造作も無い内容だと思っていたのですが、
スープラのエンジンルームはツインターボということもあり、
部品がぎっしり詰まっていて、細かい部品の点検がとても面倒だということを思い出しました。
また、初期のJZA80型なので製造から年数も経っているため、樹脂部品やゴム部品の劣化が激しいため、
触る部品が皆、簡単に割れてしまいます・・・
まずは試走から。
低回転(2000rpmあたり)から、ブーストが掛かる様にアクセルを踏み込んでいくと、
一度は0.5~0.6k位まで過給圧が上昇するのですが、そこから回転を上がっていくと4000rpm位から、
ゆっくり過給圧が落ち、ゼロを指し落ち着く)、そこからブーストが掛かりません。
アクセルの踏み直し、5回に1回位の確率で過給する時もあり、とても普通に加速できません。
中高回転域で通常過給できる時があるので、インテークパイプ~インタークーラーの圧漏れの可能性は低いと見て、
簡単に作業できるソレノイドバルブの動作チェックとソレノイドバルブに繋がるバキュームホース類の点検をします。
過給圧制御しているソレノイドバルブは4個ありました。
特性がそれぞれ違うようですので、単体でのチェックをします。
2個が正常動作しませんでしたので新調します。
バキューム配管は劣化があるため、外したものは全てシリコンホースに交換します。
ここでもう一度試走すると、エンジン回転数4000rpmを維持しているところからの加速では、
通常通りの過給出来る状態になりました。
しかし、低回転からの加速で過給落ちするところは変りません。
次にタービン単体とアクチュエーターの点検するため、
周辺部品であるエアクリーナからサクションパイプを取り外していきます。
ターボチャージャーの吸気側に向かうパイプを外しながら、
部品を点検していくと、内面の変形しているパイプがありました。
おそらくエキマニからの熱を長期間受けてこのような形になったしまったのだと思われます。
以前に別の車で、長いゴム製のインテークサクションの潰れが原因で、
高圧過給時にいきなりスロットルオフした様な症状の出たものがあったことを思い出しました。
スープラのサクションパイプもこれだけ吸入しづらい状態になっているのであれば、
それに近い症状が出てもおかしくないと思い、変形したパイプを2箇所、交換しました。
再度、試走したところ、低回転~高回転まで気持ちよく過給が続く様になりました。
今回のトラブルの大きな要因は、
インテークサクションの一部変形により吸入抵抗の掛かり過ぎる部位があったことと思われます。
高温なエキマニの真上に吸気のゴムパイプがあるのは、ちょっとレイアウトに無理があるようですね。