半年ほど前にパワステフルードの漏れがあり、ギアボックスとポンプを交換したお車です。
施工から数カ月したところで徐々にステアリングが重くなってきた、ということでお預かりします。
そんなにすぐにポンプやラックが故障するとも思えませんが、
とにかく不調であることが確認できましたので、お預かりして原因を探ります。
まずはフルードの色を見ます。
通常パワーステアリングフルード(PSF)の色は透明感のある深い赤というイメージです。
リザーバタンクの蓋を開け、内部の様子を見たところです。
少し乳化したような色になっています。
さらに、銀の小さい欠片が入り混じった様子です。
タンクの中からフルードをすべて抜き出し洗浄します。
底の方に固定されているフィルターを取り出します。
粒子の大きな欠片が堆積しています。
これらのつまりで、ステアリング動作が重くなってきたと思い、
ポンプ~ラック~タンク、全てのライン内部の
フルードを汚れや欠片と共に吹き流します。
このような感じで5~6回フラッシングを施工します。
最初に吸い出したPSFは一番左のボトルへ、
その右隣は2回目取り出したもので、色は透き通っていますが、
まだ少し欠片が混在していました。
3回~5回目にフラッシングした後のものは、ほぼ新品に近い状態、
6回目のものと順に右に向かって置いてみました。
2回目以降から色の変化が分からなくなるくらい綺麗になっています。
タンクの内部はこれくらい綺麗にします。
しかしながら、6回もオイルの入れ替えをした甲斐も虚しく、
ステアリング動作は重いままです。
次に怪しいと感じたところがステアリングカラー、このゴムの部分です。
ステアリングを回したところです。
見ているだけで抵抗を感じます。
このジョイント部分をしっかり固定してあげれば上下動せず、
シャフトがまっすぐに回るのでは?ということで交換します。
すごくスムーズに回っている様子に見えます。
ところが、試走してみると、症状が更に悪化してしまいました。
その後にもう一度ステアリングを回して、ロッド周辺を観察してみます。
動作のぎこちないユニバーサルジョイント、
(等速ジョイントとも言うらしいですね)を取り外します。
縦横の片側だけ動作せずにガッチリ固まっています。
今回はここが一番の原因のようです。
カラーを変えて症状が悪化したことも理解できました。
こちら部品を用意してくれた業者の方に尋ねたところ、
狭い道でハンドルを切る機会が多い
運送車両などに多く見られる症状であるとのことでした。
東京都内に自宅を構えるオーナーさんの使用状況は、
主に交差点が多い住宅街で、ステリングを切る機会も多いため、
丁度この条件に当て嵌まります。
既に製造中止となっている部品のようですが、
1個在庫があったので今回は新品に交換できました。
遠回りしてしまいましたが、結果、原因が明確にでき、
ステアリングの動作も快調に、
そして、オーナーさんにも喜んでいただけましたので良しとします。